葬儀の服装のマナー│男性の喪服について簡単にご紹介します
- 2019.10.23 | マナー
葬儀には守るべきマナーが多数存在します。
作法はもちろんのこと、服装や持ち物ひとつひとつにもマナーがあります。
さまざまなマナーが存在する中で、服装には特に気を遣う方も多いでしょう。
葬儀に赴いた際、マナーに反した服装をすることは避けたいものです。
今回は、男性の喪服着用におけるマナーについてご紹介します。
男性の喪服の種類
喪服には正式喪服、準喪服、略式喪服の順番で格式が存在します。
正式喪服は喪主や遺族、準喪服は遺族や親族、略式喪服は会葬者が着用することが一般的です。
故人との関係性によって着用する喪服の格式が異なりますので、丁寧であれば良いというわけではありません。
格式高すぎる服装は逆にマナー違反となる場合があるため、注意しましょう。
会葬者の立場で正式喪服を着用することはありません。
男性の喪服といえば和装・ブラックスーツ・ダークスーツがあげられます。
正式喪服
遺族の男性が着用する正式喪服は和装とモーニングコートです。
和装
男性の正式喪服としての和装は、紋付羽織袴が該当します。
羽織は高級な黒羽二重で仕立てられ、背・両袖・両胸にそれぞれ計5つの家紋が入っている「黒羽二重染め抜き五つ紋付き」を着用します。
半襟と長襦袢は白もしくは黒の羽二重のものを、帯は博多織の角帯です。
袴は最高級の絹織物といわれている仙台平もしくは博多平で、草履は畳表付きで黒の鼻緒のものを履きましょう。
足袋は白色もしくは黒色のものを着用します。
洋装
男性の正式喪服としての洋装は、モーニングコートです。
白無地のシャツに黒色のジャケット、ズボンは黒もしくはグレーの細いストライプ模様が入ったものを着用します。
ネクタイやベルト、靴下などすべて黒色で統一し、スリーピースのベストも同様です。
モーニングコートは昼間の正式喪服のため、お通夜では着用せず、葬儀・告別式の際に着用します。
近年では、喪主の立場でも和装やモーニングコートではなく、通夜、葬儀ともに準礼装のブラックスーツを着用するのが一般的です。
準喪服
男性の準喪服はブラックスーツです。
また、ほとんどの場合、喪服といえば準喪服を指します。
喪服と聞いてほとんどの方が想像する黒いスーツは準喪服のブラックスーツが該当します。
遺族や会葬者など、立場を問わず幅広く着用する機会のある喪服です。
洋装
ブラックスーツとは、名前の通り黒無地のスーツを指します。
シングルとダブルはどちらでも構いません。
シャツは白無地のものを着用し、ベルトやネクタイ、靴などを黒色で揃えます。
弔事用のスーツや、ブラックフォーマルのものを選びましょう。
略式喪服
正式喪服や準喪服に比べて制約が少ないのが略式喪服です。
平服でお越しくださいといわれた際は略式喪服を着用することがほとんどです。
取り急ぎの訪問や、会葬者としてのお通夜・葬儀に着用されることがあります。
男性の略式喪服としてはダークスーツが挙げられます。
洋装
黒や濃紺などの暗めの色合いをしたスーツのことをダークスーツといいます。
無地もしくは控えめなストライプ柄を着用します。
シャツは白無地のもので、ネクタイもスーツ同様に地味な色のものを選びます。
正式喪服や準喪服に比べ色や柄の制約は少ないですが、落ち着いた色で整えるのがマナーです。
カジュアルにならないよう、フォーマルな場であることを踏まえた服装を心がけましょう。
ビジネススーツは喪服の代用になる?
ブラックスーツと聞いて、ビジネススーツをイメージする方もいるかもしれません。
ビジネススーツやリクルートスーツも黒色であり、喪服として着用できるのか気になるところでしょう。
結論から言うと、ビジネススーツは喪服ではありません。
急な訃報で仕事帰りにお通夜に駆け付ける場合、ビジネススーツを着用することは問題ありません。
しかし、一日置いてのお通夜や葬儀にはふさわしくないとされています。
地域によってビジネススーツは略式喪服とみなされ、着用が許されている場合もあります。
ただし、ビジネススーツは喪服に該当しないということを覚えておきましょう。
ブラックスーツとビジネススーツの違い
喪服であるブラックスーツとビジネススーツの主な違いは生地です。
ブラックスーツは深い黒色に見えるようつくられており、時間帯や天候に影響されることがなく、常に光沢がありません。
ビジネススーツは光を反射することから、ぱっと見た際は黒色でも明るい光の下だとグレーに見えるなど、場面によって色が変わって見えてしまいます。
ブラックスーツ着用者が並ぶ中でビジネススーツを着用していると非常に浮いてしまうのです。
ビジネススーツには光沢があるため、光沢を避ける葬儀にはふさわしくないともされています。
逆にブラックスーツは黒が深すぎるため、一般的なビジネスシーンでの着用は場にそぐいません。
相手に違和感を与えてしまいます。
ブラックスーツとビジネススーツは兼用できないという認識で問題ないでしょう。
小物に注意!
意外と見落としてしまうところで、気をつけなければならないのが小物です。
服装に気を払っていても小物が場にそぐわなければ悪目立ちしてしまいます。
基本的に「色は黒・装飾は控える・光沢を避ける・生き物の毛皮を着用しない」を守るようにしましょう。
ネクタイ
男性で特に気をつけなければならないのがネクタイです。
光沢や柄のない黒無地の弔事用ネクタイを着用します。
結び方は通常と同じで構いませんが、ディンプルと呼ばれる結び目の下にできるくぼみは作らないようにしましょう。
おしゃれは葬儀の場において不要であり、マナー違反となるからです。
また、ネクタイピンは付けないほうが良いとされています。
ベスト
ベストを着用すること自体はマナー違反ではありません。
しかし、中にはベストを好まない方もいるため、注意が必要です。
ベスト=おしゃれという認識がある方にとって、ベストの着用は場にそぐわないからです。
もし着用する場合は黒色のものを選びます。
アクセサリー
葬儀は着飾る場ではないため、アクセサリーは事前に外しておきましょう。
ただし、結婚指輪は通常のアクセサリーと扱いが異なるため問題ありません。
時計はシンプルなものであれば身につけて大丈夫ですが、装飾が派手なものやゴールドのものは外しておきましょう。
バッグ
男性の場合、鞄を持つ方は少ないと思いますが、もし鞄を持つ場合は光沢のないものを選びます。
色は黒で、布製が好ましいです。
金具部分がゴールドだったり、柄が強かったりするものは控えましょう。
エナメル素材やスエード素材は避け、落ち着いたデザインが良いとされています。
靴下
男性の靴下は黒無地のものを選びます。
靴を脱ぐ際はもちろん、座った時に肌が見えないよう長めのものを着ると良いでしょう。
柄つきのものや、黒以外の色の靴下は避けてください。
コート
冬場の寒い時期、コートを着て会場へ向かうことはマナー違反ではありません。
葬儀場によっては預けるためのクロークがありますので利用しましょう。
殺生を想起させることから毛皮のコートは着用しません。ファーやフェイクファーも同様です。
色は黒が望ましいとされています。
ダウンジャケットなどカジュアルなものは避けましょう。
デザインコートは控え、できるだけフォーマルな形のコートを着るようにします。
靴
光沢のないフォーマルな黒い靴を着用しましょう。
素材は光沢のない合成皮革か本革のもので、ストレートチップと呼ばれるつま先に横一文字のラインが入った靴がふさわしいとされています。
特に内羽根と呼ばれる紐がぴったり閉じたデザインのものは清潔感もあることから好まれています。
金具付きの靴や、エナメル素材やスエード素材は着用しないのがマナーです。
ハンカチ
ハンカチは白もしくは黒の無地を選びましょう。
ワンポイント程度であれば問題ありませんが、柄物は避けるのが望ましいです。
しわなどがあれば清潔感を損なってしまうため、必ず綺麗なものを持つようにしましょう。
傘
盲点となりやすいのが傘です。
通夜や葬儀の時、雨が降れば傘を差しますが、黒や紺などの暗めな色のものを用いるようにしましょう。
派手な色や柄付きのものは好ましくありません。
まとめ
葬儀の際の男性の服装のマナーについてご紹介しましたが、いかがでしょうか。
地域によって独自のマナーや習慣がある場合はそちらを優先しましょう。
現在では喪服をレンタルもできますので、急ぎで必要な場合はそちらを利用するのも選択肢のひとつです。
そう何度も着る機会はありませんが、いずれ着る機会が訪れるのが喪服です。
必要になってからでは考えて選ぶ時間もないため、前もって一着持っておくことをおすすめします。
喪服選びの判断材料としては流行に従うよりも、オーソドックスで質が良く、何年経っても着られるものを選ぶと良いでしょう。