だるまについて|歴史・供養方法|詳しく解説します
- 2020.05.19 | 知識
縁起物と聞くと何を思い浮かべますか?
熊手、雛人形、こいのぼり、招き猫など縁起物と呼ばれるものは数多く存在します。
古くから私たちの生活に根づいてきた「だるま」も縁起物のひとつです。
だるまさんがころんだなど子供の遊びとしても定着しています。
日本人にとって身近なだるまですが、どのような役割や歴史があるのかご存知でしょうか。
今回はだるまについてご紹介します。
だるまの歴史
だるまが現在の形で作られるようになったのは、江戸時代といわれています。
遡ること鎌倉時代、日本に禅宗が伝わります。
禅宗では達磨大師(だるまだいし)という僧侶を重要視し、達磨大師が描かれた掛け軸や札を仏像の代わりとして用いられていました。
達磨大師には壁に向かって九年の座禅を行ったことにより、手足が腐ってしまったという伝説があります。
その伝説をモチーフに、手足のない形状で置物が作られるようになりました。
丸みをつけた底近くに重りを入れて重心を低くすることで、倒そうとしても起き上がる不倒翁(ふとうおう)が元となっています。
不倒翁が室町時代の日本に伝わり、起き上がり小法師として作られました。
達磨大師の座禅姿を起き上がり小法師にうつし、江戸時代になって現在のだるまが作られるようになったといわれています。
日本では赤色のだるまが一般的ですが、中国から長崎県に持ち込まれた起き上がり小法師は、インドにおける僧侶の衣服の色として黄色で製作されていました。
なぜ日本では赤色になったのでしょうか。
赤色を火や血の色に見立て、魔除けとしての効果を望んでいたからと推測されています。
慶事に赤は欠かせないことから、病や災いも赤色をもって防げると信じられてきたのでしょう。
今では赤や白以外にも、黄色や緑色などでつくられるだるまも存在します。
黄色(金色)は金運、緑色は健康運など色によって込められる願いごとも異なりますが、お守りのような役割を果たしているようです。
だるまの目入れ
だるまは白目のまま販売されるのが一般的です。
祈願のため、購入者自ら左目(向かって右側)に黒目を書き入れます。
願いが成就したら、残りの右目(向かって左側)にも黒目を書き入れます。
これを目入れだるまと呼び、江戸時代から今日まで永く続いている風習です。
ちなみに、願いの成就によって右目を書き入れることを開眼ともいいます。
だるまを迎え入れたら神棚がある場合には、神棚に飾ることをおすすめします。
スペースがない場合や、そもそも神棚が無いといった場合には床の間や家具の上に置きましょう。
受験の合格祈願や勉学の願いをだるまにかけた場合には、机の上に置くのもおすすめです。
だるまは南向きに飾るのが良いとされています。
東向きでも問題ありませんが、北向きにしないよう気をつけましょう。
しかし、だるまは縁起物という位置づけです。
仏教の祖師として拝むわけではないため、問題ないというのが一般的な捉え方とされています。
だるまの供養方法
だるまは、願いごとが成就したら供養し、新しいだるまを迎え入れます。
その際、前のだるまより一回り大きいだるまを購入し、一番大きなだるまに達したら一番小さいだるまに戻すと良いでしょう。
お守りやお札同様に願いが成就しなくても一年ほど経過したら新しいだるまと換えるのが一般的です。
新年に合せて換える方が多いようですが、願いによってはその限りではないため、自分のタイミングで交換しましょう。
交換後、前のだるまはただ処分するのではなく供養する必要があります。
以下、だるまの供養方法です。
お寺に納める
お寺でお焚き上げをしてもらう方法です。
一般的に読経し、お焚き上げ供養をします。
お焚き上げ供養とは人形供養と同様、魂が宿っているものを火で浄化し、天に返すという供養です。
これも、納めたいお寺がだるま供養を受け付けているか事前に確認する必要があります。
郵送にて受け付けているところや人形供養と同時期に行っているところなど、お寺によってさまざまです。
神社に納める
神社で供養してもらう方法です。
近くにだるま供養を受け付けているお寺がない場合や、郵送でだるま供養を受け付けているお寺に心当たりがない場合には、神社に依頼するのもひとつの方法です。
だるま供養を行っているかどうかはお寺同様、事前に確認しておきましょう。
どんど焼きに持っていく
町内会など、自治体で行っているどんど焼きに持ち込むという方法です。
ただし、地域によっては目がつぶれるためだるまを焼いてはいけないという考えがあり、だるまの持ち込みを受け入れていないところもあります。
事前に確認を取るようにしましょう。
しかし元は達磨大師であることから、できればお寺にお返しする方が良いとされています。
まとめ
だるまについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
江戸時代に現在のだるまの形になり、縁起物の代表格として現代でも日本全国で広く親しまれています。
迎え入れただるまは一年を目途に、新しいものと交換するのが一般的です。
願いが成就したなら、新しいだるまは一回り大きいものを購入していき、一番大きいだるまに達したら、次は一番小さなだるまに戻します。
新しいだるまと交換した後、前のだるまは願いの成就如何に関係なくきちんと供養してあげましょう。