りんの使い方|宗派・種類・お手入れ|詳しく解説します
- 2020.02.18 | 知識
仏壇にお参りする際、りんを鳴らすことが習慣になっている方は多いのではないでしょうか。
子供の頃に綺麗な音に惹かれて何回も鳴らし、怒られた記憶がある方もいるでしょう。
しかし、りんはむやみに鳴らすものではありません。
仏壇に欠かせない仏具のひとつで誰もが知っているりんですが、そもそもどういう役割があり、なぜ鳴らすのか。
今回は、りんについて詳しくみていきます。
りんの持つ役割
りんとは梵音具(ぼんおんぐ)のひとつで、必ずと言っていいほど仏壇に置かれています。
漢字で「鈴」と表現されますが、すずと混同しないよう仏具店などでは「りん」や「おりん」という風にカタカナやひらがなで表すことが多いようです。
宗派によっては「鏧」「鈴」「鐘」と呼称が変わることもあります。
もともと禅宗で用いられていた仏具でしたが、今ではどの宗派でも使われるようになりました。
音の鳴る仏具のことを梵音具と呼び、りんの他には木魚やお寺の鐘などが該当します。
梵とはサンスクリット語で清浄・神聖という意味を持つことから、梵音具は邪気を払い清める役割があるとされています。
また、りんの非常に澄んだ美しい音色は極楽浄土にいる仏様にまで届くといわれており、供養の気持ちをご先祖様に届ける役割もあるといえます。
厳密にいえばりんは読経の際に使われるものなので、お仏壇に向かって合掌しお祈りするといった場面では基本的に使用しません。
読経の始まりや終わりなど区切りを知らせる意味で用いることが正しい用法とされています。
りん台に違いがある?
浄土真宗ではりん台に大きな違いがあります。
浄土真宗本願寺派
浄土真宗本願寺派では、六角形もしくは丸型のりん台を用います。
六角形あるいは丸型のりん台の上にりん布団を置き、その上にりんを置きます。
真宗大谷派
浄土真宗の真宗大谷派では、四角形のりん台を用います。
りん布団ではなく金襴輪(きんらんわ)と呼ばれる輪をりん台の上に置き、その上にりんを置きます。
金襴輪とは中心部が空洞になっている仏具で、りん布団の代わりに用いるものです。
金襴が巻き付けてあるのが特徴です。
他の宗派
基本的には他の宗派では特に決まりがないとされていますが、菩提寺に確認されることをおすすめします。
りんの種類
一般的にりんといえば半球形のお椀のような形を多くの方がイメージすると思いますが、近年では球体や縦長なものなど、従来のりんとは違ったデザイン性の高いものも多くなりました。
どれもモダンな家具調仏壇にあうスタイリッシュな形をしていて、豊富なデザインの中から自分好みのものを探すことができます。
また、デザインと同じように音色も種類によりさまざまなため、選ぶ際の重要なポイントになります。
りんは澄んで美しい音色を響かせる仏具という認識で、音には違いがないと思われている方もいるかもしれません。
実は耳を澄ませて聴き比べてみると、物次第で音がまったく違うことに気づきます。
同じりんでも打つ箇所によって響く音は変わりますが、大きさや厚み、形状、製法によっても響く音がまったく異なります。
良いりんは音にうねりがあり、余韻が長く続きます。
反対に音割れするりんが並んでいる場合もあるため、デザインだけではなく音も必ず確認が必要です。
音を鳴らす際は、必ずりん棒や専用の仏具を使用しましょう。
宗派ごとの鳴らし方の違い
りんの鳴らし方やタイミングは宗派によって異なります。
ここでは代表的なものをご紹介します。
浄土宗
八下(はちさげ)といい8回りんを打ちます。
読経時にのみ鳴らし、読経をしないお参りの際には鳴らさないものとされています。
浄土真宗
西本願寺では初めにりんを2回打ち、中ほどで1回、最後に3回打ちます。
東本願寺では初めと中ほどでりんを2回打ち、最後に3回打ちます。
また、勤行(ごんぎょう)の際にだけりんを鳴らし、合掌礼拝では鳴らしません。
曹洞宗
内側を2回鳴らすと教えているお寺と、3回鳴らすと教えているお寺があるようです。
真言宗
鳴らす回数は2回で、1回目は優しく、2回目は少し強めに叩きます。
同じ宗派であってもお寺によって作法が異なる場合があるため、厳密に寺院のしきたりに則って鳴らしたいという方は、菩提寺の僧侶に聞いてみると良いでしょう。
何回鳴らすのか、どのように鳴らすのか、打つ場所はふちなのか内側なのかを確認します。
りんのお手入れ
りんは真鍮(黄銅)で作られている場合が多いため、時間が経つと青錆やくすみなどにより汚れてしまいます。
漆などを塗った色付きのものやメッキ加工が施されている場合には、やわらかい乾いた布でやさしく磨いてください。
メッキ加工や色がついていないりんの場合は、専用の洗浄液を使用してやさしく磨きましょう。
そのあとはやわらかい乾いた布でやさしくふき取ります。