お墓と名字が異なる場合は?|家族墓・両家墓|詳しく解説します
- 2020.01.28 | 知識
昨今、永代供養墓や樹木葬といった新しい供養形態が誕生していますが、今でもお墓といえば、先祖代々受け継いでいく家族墓(墓石)が日本の主流です。霊園や墓地に行くと、実に様々な家族墓を見ることができます。
家族墓には同じ名字を名乗ってきた家族や親族が亡くなったときに入るのが一般的ですが、中には結婚したけれど実家のお墓を希望する方や、離婚したけれど改姓せずに名字をそのまま使い続けている方もいるでしょう。
また、近年では夫婦別姓を採用するケースも増えており、同じお墓に入る予定だけど夫婦で名字が違うということもあるかもしれません。
お墓に彫られている名字と名乗っている名字が異なる場合、同じお墓に入ることはできるのでしょうか。
今回は、名字が異なるお墓に入るケースについて解説します。
お墓に入る条件
日本では、結婚後に女性が夫の姓を名乗る割合が9割近くを占めています。
そのため、入りたいお墓と自分の名字が違うケースは女性に起こりやすい問題です。
現代社会においては夫婦が違う姓を名乗るケース(夫婦別姓)も増えています。
ライフスタイルが多様化する中、希望するお墓に入れるか気になる方もいるのではないでしょうか。
「墓地、埋葬等に関する法律」において、「墓地の管理者は正当な理由がない限り、年齢や性別、出身地などを理由としてお墓への埋葬を拒むことができない」と定められています。
ただし、名字が違うことが拒むことの正当な理由に値するのかは、現時点で判例がありません。
そのため、入りたいお墓と名字が異なる場合は、お墓の管理者の許可を得た上で墓地や霊園のルールに従うことになります。
墓地・霊園のルール
墓地や霊園の中には契約規則で使用者を限定している場合があるため、まずは墓地・霊園の規約を確認しましょう。
名義人の親族・親等と決められている場合や、同じ名字、家族、檀家など条件は霊園・墓地によってさまざまです。
条件に当てはまらず、それでもお墓に入ることを希望する場合は霊園の管理者に相談してみることをおすすめします。
事情を汲んで許可を出してくれるケースもあるようです。
名字が異なるケース
実際に入りたいお墓とお墓に入る方の名字が異なるケースをみてみましょう。
離婚後、旧姓に戻さず今の姓をそのまま使い続けている
離婚後、子供のことや職場での呼び方等を考えて改姓しない方がいますが、そのような方が改姓しないまま、実家のお墓に入ることを希望する場合です。
もちろん同姓だからといって元配偶者のお墓に入るわけにはいきません。
実家のお墓に入ることを希望する場合は、まずお墓の承継者の同意を得る必要があります。
実家のお墓の承継者は血縁関係の場合がほとんどであるため、お墓の承継者から同意を得ることは難しくないでしょう。
次に、お墓に入ることへの問題がないか霊園や墓地の利用規約を確認します。
確認しても分からない場合には、管理者に事情を説明し、お墓に入ることへの承諾を得ましょう。
結婚しているけれど実家のお墓に入りたい
近年ではさまざまな事情から、結婚していても配偶者側ではなく実家のお墓に入ることを望む方もいるようです。
理由として、配偶者の実家が遠方にあり見知らぬ土地で眠ることに抵抗がある場合や、義理の親との関係性などが挙げられます。
その場合は、実家と婚家の両方のお墓の承継者と霊園・墓地の管理者の許可を得る必要があります。
もちろん、お墓の承継者だけではなく、親族の理解も必要です。
ライフスタイルの変化
先祖代々受け継がれるお墓ですが、ライフスタイルに合わせてお墓も変化しつつあります。
さまざまな供養形態の登場や、お墓の多様化によって、選択肢が増えてきました。
その背景には、少子高齢化により生じた跡継ぎ問題があります。
お墓があっても跡継ぎがいなければ、次世代にお墓を管理してもらえません。
近年では、仏石に従来のような「○○家之墓」など名字ではなく、「和」「絆」など、言葉を刻むケースが増えています。
名字関係なく、縁のある親族ならお墓に入れるようにと、一族のお墓としての役割を持たせている場合もあるのです。
墓友
墓友という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
家族ではなく、仲の良い他人同士で永代供養墓などの同じお墓に入る交友関係を指した言葉です。
今では広まりのある言葉となっており、このような考えを持った方達が増加傾向にあります。
今後、お墓とお墓に入る方の名字が異なるケースが多くなっていくかもしれません。
両家墓
名字が異なる者同士が同じお墓に入る場合、両家墓を建てるという選択肢もあります。
両家墓とは2つの家のお墓を1つにまとめたお墓のことです。
新しくお墓を建てる方法と、今あるどちらかのお墓にもう片方のお墓のご遺骨を移す方法があります。
特に妻が一人娘の場合、嫁いだことでお墓の承継者がいなくなってしまいます。
そういう場合に選択肢として挙げられるのが両家墓です。
ただし、両家墓を認めていない霊園や墓地もあるため、必ず事前に確認しましょう。
両家墓について詳しく知りたい方はこちら
まとめ
名字が異なる場合、お墓の管理者と墓地の管理者の許可があれば入ることができます。
しかし、霊園や墓地の規則で使用者が限定されている場合があるため、契約がどうなっているか必ず確認するようにしましょう。
また、名字が違うお墓に入る際には墓誌に名字を含め彫ってもらうか、お墓の仏石に新しく名字を彫ってもらうなどして、自分が眠っていることを記すことも大切です。
お墓の管理者と墓地の管理者の許可があれば手続き上問題ないとはいえ、最も大切なことは双方の家族や親族の気持ちです。
しっかりと話し合い、理解を得た上で手続きするようにしましょう。