満年齢と数え年|享年・行年|詳しく解説します
- 2019.12.25 | 知識
年齢の数え方には満年齢と数え年の2種類ありますが、世の中ではどのように使い分けられているのでしょうか。
満年齢は、年齢を相手に伝えるときや申込書の記入欄など日常的によく使用されます。
反対に、数え年は七五三や厄年などが身近ですが、使用する機会はあまり多くありません。
では、お墓に故人の年齢を刻む場合はどちらを用いるかご存知ですか?
昔はあたりまえに数え年が用いられていましたが、近年は満年齢を刻むことも多くなっています。
どちらで数えるかは地域性やお寺の考え方次第でも変わり、答えが一つと決まっているわけではありません。
そこで今回は、満年齢と数え年の違いやお墓での用いられ方を見ていきましょう。
年齢の数え方
まず、満年齢と数え年の数え方の違いを見ていきましょう。
満年齢
満年齢では自分が生まれた日を0歳とし、誕生日を迎えた回数を年齢とします。
誕生日から365日経つごとに1歳ずつ加算されていくわけです。
年齢の前に「満」をつけ、「満○○歳」という使い方をします。
法律上では誕生日前日の24時に歳を取ると定義されており、閏年である2月29日生まれの方は前日の2月28日の24時に歳を重ねます。
また、4月1日生まれの方は前日である3月31日の24時に歳を重ねるため、4月2日生まれの方よりひとつ上の学年になるわけです。
還暦は60歳の長寿祝いと多くの方に認識されていますが、この時の年齢の数え方は満年齢を用います。
しかし、古希や喜寿などその他の長寿祝いでは数え年を用いるのが一般的です。
では、なぜ還暦のみ満年齢なのでしょうか。
理由としては干支が関係しているといわれています。
干支とは十干と十二支を組み合わせた60を周期とする数詞です。
生まれたときの干支に還るまでに60年かかるため、誕生してから60年目に「暦が還る」となり、還暦と呼ばれるようになった為です。
数え年
数え年には誕生日に歳を取るという概念や、0歳という概念はありません。
生まれた時点で1歳となり、お正月を迎えるごとに1歳ずつ年齢が加算されていきます。
そのことから、新年を迎えることを「年取り」といって祝います。
例えば1月1日に生まれた赤ちゃんは生まれた時点で1歳となり、1年後の翌年1月1日に2歳になります。
12月31日に生まれた赤ちゃんの場合、生まれた時点では同様に1歳ですが、翌日1月1日には2歳になるのです。
出生後365日経過することで2歳になる子もいれば、たった1日経過しただけで2歳になる子もいるなど、同じ2歳でも実際に生まれてからの期間が大きく異なります。
また、古くからある日本の伝統行事は数え年を基準にしていることが多く、七五三や年忌法要、還暦以外の長寿祝いなども数え年で行うのが一般的です。
法要では、故人が亡くなった翌年の一周忌以降は満年齢で数えますが、一回忌(葬儀のおつとめ)のみ数え年と同じ数え方をします。
享年と行年
葬儀やお墓で故人の年齢を表す際は、「満年齢」「数え年」ではなく「享年」「行年」を用います。
享年
享年とは生まれた人が天寿を全うし、亡くなったときまでの年数をあらわす言葉で「天から享(う)けた年数」という意味をもちます。
故人が90歳で亡くなった場合「享年九十」といった使い方をし、「歳」をつけないのが一般的です。
行年
行年とは娑婆(シャバ)で修業した年数という意味をもちます。
行年の行は時の経過を指し、故人が存命していた年数をあらわしているのです。
どちらを用いるべき?
享年や行年を満年齢か数え年のどちらを用いるかはお寺や地域によって異なります。
古代日本には年齢の数え方が数え年方式しか存在せず、そもそも使い分けをするという考えがありませんでした。
明治時代に年齢の数え方に関する法律ができ、第二次世界大戦後に満年齢での数え方が深く浸透するまでは当然のように数え年を用いていたのです。
代々受け継いできたお墓であれば、新しく彫る年齢をご先祖様の年齢の数え方に合わせるのが一般的です。
ご先祖様の年齢の数え方が満年齢の場合は満年齢、数え年の場合は数え年を用います。
また、享年と行年のどちらを彫るかもご先祖様の表記に揃えましょう。
追加で彫る場合にはご先祖様の表記に揃えます。
まとめ
満年齢と数え年の違いや、享年・行年について見てきましたが、いかがだったでしょうか。
満年齢に関しては、現在の西暦から生まれた年の西暦を引くことで計算できます。
誕生日を迎えていない場合、そこから1歳引きましょう。
数え年に関しては、誕生日を迎えていれば実年齢に1歳プラスし、誕生日を迎えていなければ実年齢に2歳プラスします。
数え年で行われる行事、満年齢で行われる行事と両方あるため、それぞれ数え方の違いを覚えておくと良いでしょう。
お墓の享年や行年に満年齢か数え年のどちらを用いるかわからない場合には、お寺や地域のことに詳しい方などに尋ねてみるのもひとつの方法です。