遺骨ダイヤモンド|手元供養・ダイヤモンド葬|詳しくご紹介します
- 2019.11.19 | 知識
近年、これまでの枠組みにとらわれない供養のかたちとして、さまざまな供養スタイルが登場しています。
以前に比べ多くの供養方法から選べるようになった分、実際にどの供養方法が自分たちに合っているのか悩まれたことがあるかもしれません。
選択肢が多いからこそ、後悔しないために供養について知ることはとても大切です。
数多くある選択肢の中で、遺骨ダイヤモンドというものをご存知でしょうか。
宝石のひとつであるダイヤモンドを用いた新しい供養のかたちです。
今回は、遺骨ダイヤモンドについてご紹介します。
遺骨ダイヤモンドとは
遺骨ダイヤモンドとは、名前の通りご遺骨を用いて生成された合成ダイヤモンドを指します。
手元供養の一種として近年広まりつつある新しい供養のかたちです。
ダイヤモンド葬とよばれることもあります。
ご遺骨の炭素をからつくられたダイヤモンドを、ジュエリーとして身につけたり手元に置いたりする供養スタイルです。
故人をより身近に感じることができる手元供養品として、女性を中心に選ばれています。
製作方法
遺骨ダイヤモンドの申し込みから手元に届くまでの一般的な流れをご紹介します。
ご遺骨を預ける
申し込み後、ご遺骨を業者に預ける必要があります。
預けかたは、郵送で届ける方法と国内業者に自宅まで取りきてもらう方法があります。
預ける方法は業者次第で異なるため、郵送が不安な場合は対面で受け取ってもらえる業者を選びましょう。
製作
ご遺骨を預かった業者は、海外工場にご遺骨を輸送し、そこでご遺骨から炭素を抽出します。
特殊装置を用いて抽出された炭素に高温高圧をかけることで結晶化し、ダイヤモンド原石にしていきます。
天然のダイヤモンドは自然の中で数億年という長い年月かけて生成されるのに対して、合成ダイヤモンドは数日から数週間で生成されます。
技術の発展により、今では天然ダイヤモンドに限りなく近いものがつくられるようになりました。
製作工場
現在、日本国内で遺骨ダイヤモンドがつくられることはほとんどありません。
スイスやイギリスなどの海外の工場で合成ダイヤモンドを生成し、国内工場でジュエリーに加工する方法が主流です。
そのため、申し込んで手元に届くまでには6ヶ月程度の期間を要します。
研磨
遺骨ダイヤモンドの原石を生成したら、次にカッティング作業と研磨作業を行います。
中にはあえて研磨をせず、原石に近い状態で届けてもらえる業者もあるようです。
故人の雰囲気に合っている方を選ぶと良いでしょう。
ジュエリー加工
海外工場でカット・研磨された合成ダイヤモンドは、日本国内でジュエリー加工されたのち届けられます。
必要なご遺骨の量
遺骨ダイヤモンドはご遺骨をもとにつくられますが、必要な量は業者によって異なります。
必ず事前に確認しましょう。
一般的に70g~400gほどあればダイヤモンドを生成できるとされています。
400gは平均的な成人男性のお骨の1/5~1/4ほどです。
年齢や薬の投与などで骨がもろくなっている場合でも炭素の抽出は可能なため、合成ダイヤモンドをつくることができます。
ただし西日本などの地域では部分納骨をすることがあり、その場合はご遺骨の量が足りないケースもあるようです。
もし、ご遺骨が足りないときは形見の品から炭素を取り出し、補うこともできます。
心配な場合は、事前に確認してもらえる業者に相談してみると良いでしょう。
加工できるのはご遺骨だけではない
ご遺髪も炭素でできているため、合成ダイヤモンドをつくることができます。
髪は非常に多くの炭素を含んでいるため、ご遺骨より必要量が少なく、10g程度とされています。
ご遺髪を別で保管されている方や、火葬前に遺骨ダイヤモンドを考えている方はご遺髪を利用するのも一つの方法です。
何色?
実際に遺骨ダイヤモンドを生成した場合、ダイヤモンドは無色透明やブルー、イエローなどの色をしています。
これはご遺骨に含まれる元素により、完成するダイヤモンドの色合いが決まるからです。
着色によるものではないため、ダイヤモンドの色には個人差があり、ひとつひとつ色味が異なります。
ブルー
炭素を結晶化する際に微量のホウ素が混ざることで青みがかった色になります。
イエロー
炭素を結晶化する際に微量の窒素の影響により、黄色がかった色になります。
無色透明
結晶化する際に真空状態で行い、窒素を取り除くことで無色透明になります。
他の色
赤やオレンジなどの他の色を希望する場合は、着色が必要になる為、着色を行っている業者に依頼する必要があります。
遺骨ダイヤモンドを考えるうえでの注意点
遺骨ダイヤモンドは常に身に着けられ、故人をより身近に感じることができます。
飾っても光沢が綺麗で、いつでも美しい輝きを私たちに見せてくれます。
しかし、気をつけなければならない点もあります。
紛失に注意
アクセサリー型の手元供養品も同様ですが、遺骨ダイヤモンドには紛失の可能性があります。
肌身離さず身に着けていたとしてもなんらかの拍子で外れてしまうことがあるため、管理には細心の注意が必要です。
親族トラブルになりやすい
遺骨ダイヤモンドはまだ新しい供養形態であることや高額であることから、親族間のトラブルになりやすいといわれています。
大切な故人のご遺骨を高温高圧にかけることから、親族の中には抵抗感がある方もいるかもしれません。
数ヶ月手元から離すこと、海外に輸送すること、さまざまな不安を抱かれる方もいるでしょう。
故人を想って選んだ供養方法でトラブルになることは避けたいものです。
事前に必ず話し合い、了承を得て申し込む必要があります。
分骨について
あらかじめご遺骨をダイヤモンドにしようと決めている場合には、火葬場でダイヤモンドを生成する分のご遺骨を分骨してもらわなければなりません。
また、既にお墓などに埋葬しているご遺骨から遺骨ダイヤモンドをつくることもできますが、どちらの場合でも分骨証明書の発行が必要です。
火葬前にあらかじめ決めている場合、葬儀社に分骨の希望を伝え、火葬場の窓口で必要枚数を発行してもらいましょう。
すでに埋葬されているご遺骨の場合は、埋葬先の霊園やお寺などの管理者に発行してもらいます。
遺骨ダイヤモンドなどの手元供養にする場合、発行してもらった分骨証明書は大切に保管しておきましょう。
当代限りの供養
一般的なお墓と違い、ご遺骨ダイヤモンドは当代限りの供養といわれています。
自分が亡くなったあと、身に着けていたご遺骨ダイヤモンドをどうするのか、事前に考えておく必要があります。
遺された家族が困らないよう、先のことまで見据えて依頼しましょう。
よくある疑問点
遺骨ダイヤモンドについて、よくある疑問点をまとめてみました。
本当に故人ですか?
現代科学において、遺骨ダイヤモンドに含まれる炭素が故人本人のものかどうかという証明は不可能とされています。
高温高圧に掛けることにより細胞が破壊され、DNA鑑定が不可能だからです。
そのため、遺骨ダイヤモンドは依頼先の業者との信頼関係が重要といわれています。
安心して任せられるのか、しっかりと見極めたうえで依頼しましょう。
業者によっては独自で証明書を発行していたり、番号で厳重に管理していたり、管理方法はさまざまです。
どのような管理を行っているのかを必ず確認し、納得できる業者に依頼することが大切です。
納期はどれくらいかかりますか?
遺骨ダイヤモンドを依頼してから手元に届くまでの期間は半年前後といわれています。
ジュエリーに加工する場合、そこからさらに数週間を必要とします。
また、ダイヤモンドのサイズが大きいほど長い製作期間が必要になりますし、ご遺骨の状態によっても異なります。
申込者が集中した場合など、工場の混み具合によっても製作期間は変動します。
納期は業者によって大きく異なるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
まとめ
遺骨ダイヤモンドについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
ダイヤモンドは非常に美しい光沢を放ちます。
ジュエリーにし、常に身に着けることで故人をより身近に感じられることでしょう。
世界各地で取り入れられている遺骨ダイヤモンドですが、まだまだ日本では新しい供養スタイルと言えます。
そのため、正式に申し込むためには家族や親族の理解は不可欠です。
また、身につけていた遺骨ダイヤモンドを自分が亡くなった後、どのように供養するのかを考えた上で検討することをおすすめします。