終活について詳しく解説│エンディングノート│準備すべきこと
- 2019.08.8 | 知識
近年、終活・ライフエンディングという言葉が注目されるようになりました。
時代とともに死に対する価値観も変わってきており、元気なうちに人生の結び、私らしさとは何かについて考える方が多くなっています。
では終活・ライフエンディングとはどんなものなのか、終活を始める前に知っておくべきことを紹介していきます。
終活っていったい何?
終活とは、一言で表せば自分の死に向き合うことと言えるでしょう。
この先自分が亡くなった時にどんなお葬式をしてほしいのかをはじめ、遺産の整理や遺言の作成などを考えるのが代表的です。
また、自分の人生を見つめ直し、これからどう生きるのかを考える良い機会にもなるでしょう。
人生の終着駅に向けて、やるべきことをやっていくのが終活とも言えます。
従来、死はあまり触れてはいけないことだと認識されていて、元気なうちに死について考えることはあまりありませんでした。
しかし近年では終活という言葉がメディアなどで取り上げられ、大きく注目されるようになりました。
多くの方が、元気なうちに死と向き合うことの大切さを知るきっかけになり、実際に終活をする人も増えています。
死をより前向きに捉え、元気なうちにできることをしっかりやっておきたいと考える人が増えたことが要因のひとつでしょう。
終活はいつから始めるべき?
多くの人は終活はいつから始めたら良いのかと迷うものです。
終活はいつ頃からという明確な決まりはなく、早すぎるということもありません。
いつでも始めて良く、思い立った時がベストなタイミングと言えるかもしれません。
タイミングは人それぞれですが、自分の人生について考えたい時、これからの人生をじっくり考えたい時などに終活を始めると良いでしょう。
まだ早いと考えていると、終活のタイミングを逃してしまう可能性もあります。
終活では具体的にどんなことをすれば良いの?
では終活を始めるとして、具体的にどんなことをすれば良いのかを見ていきます。
終活としてよく知られているのがエンディングノートの作成でしょう。
エンディングノートとは、自分が亡くなった時に備えて、準備しておくべきことをまとめておいたり、遺族にメッセージを残しておいたりするのに使われます。
たとえば病気になって意識もないといった状況になった時、自分で延命措置について家族や医師に伝えるのは難しくなります。
そこでエンディングノートにあらかじめ延命措置についての希望を書いておきます。
書いておけば家族や医師はエンディングノートで本人の意思を確認できるわけです。
この他にも、遺産相続についてや、自分自身が人生の結びに向けてどう生きたいかなど、さまざまなことを書いておくのがエンディングノートです。
ただし、一般的な遺言書とは違うので法的な効力はありません。
遺言書として使うことはできませんので、本人の希望や気持ちを整理し、家族などに知ってもらう手段だと考えるのが良いでしょう。
エンディングノートに書いておきたいこと
ここからはより具体的に、エンディングノートに書いておきたいことについて紹介します。
まずは自分自身の情報です。
生年月日や本籍地などの情報をはじめ、普段厳重に保管している重要な物の保管場所なども書いておきます。
これを書いておかないと、残された遺族がどこに何があるのかがわからず、困ってしまうことがあります。
また、最近ではパソコンやスマホを使う方も増えていて、IDやパスワードが必要なケースも珍しくありません。
必要ならIDやパスワードも書いておくと、遺族が遺品の整理などをしやすくなります。
ただしIDやパスワードは重要な個人情報なので、盗み見られて悪用されるリスクもあります。
リスク管理の観点からはエンディングノートには書かず、生前に家族などに口頭で話しておくという方法も良いでしょう。
病気や怪我で入院した時に備えて、かかりつけの病院や常用している薬などの情報もあると家族は助かります。
また、延命措置が必要になった時にどうしてほしいかや、臓器提供の希望などについても書いておきましょう。
お葬式を行う時に、呼んでほしい友人や知人の連絡先もまとめておくと良いでしょう。
遺族が連絡先を知っているとは限らないので、エンディングノートに書いておかないと大切な人に連絡できない可能性が出てきます。
さらにどんなお葬式をやってもらいたいか、喪主を務めてほしいのは誰かなども書いておくべきことのひとつです。
念の為宗派を書いておくと、家族が宗派がわからずに困ることもなくなります。
檀家になっている場合は、菩薩寺の連絡先を書いておけば問題ありません。
自分が亡くなった後にお墓を建てるという場合は、お墓の希望についても書いておきましょう。
お墓も予算によってさまざまな種類がありますので、ある程度の予算や理想のお墓について書いておきます。
ここまで紹介したのはあくまでも一例で、エンディングノートに厳密なルールがあるわけではありません。
他にも書きたいことがあれば書いてもかまいません。
エンディングノートを作成することで自分のこれからを考える意味もありますので、よく考えながらさまざまなことを整理するノートとして活用しましょう。
遺言書について
終活で大事なことのひとつが遺産の相続と、それに関する遺言書の作成です。
先程も紹介したように、エンディングノートには法的な効力はないので、遺言書が必要な場合は別途正式な遺言書を書いておく必要があります。
ちなみに遺言書によく似た言葉として遺書がありますが、遺書は法的効力を持ちません。
法的効力を持たせたい場合はやはり遺言書でなくてはいけません。
遺産相続などではなく、残された家族へのメッセージや、友人などへの感謝のメッセージは遺書やエンディングノートにまとめておくのが良いでしょう。
さらに遺言書はいくつかの種類に分かれますので、その種類についても把握しておくことが大切です。
遺言書の種類
遺言書には下記の3つの種類があります。
自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言
それぞれの特徴をみていきましょう。
自筆証書遺言
本人が自筆で書いた遺言書です。
作成した日付、氏名を記入し、最後に署名捺印します。
自分で書けるため手軽に作成でき、費用もほとんどかからないのがメリットでしょう。
ただし遺言書は書式や書き方が厳格に決められていて、ルールを知らないとせっかく書いた遺言書が無効になる可能性があります。
自筆証書遺言を残すなら、遺言書の書き方についてしっかり学んでおく必要があります。
公正証書遺言
本人に加えて2人の証人を用意し、公証役場で作成してもらう遺言書です。
公証役場が作成してくれるので知識がなくても正しい遺言書を作れます。
また、遺言書の原本は公証役場で保管してもらえるので、改ざんといったリスクも抑えられます。
信頼できる証人を2人探せるのであれば、もっとも良い方法と言えるでしょう。
秘密証書遺言
自分だけで作成し、公証役場に持ち込む遺言書です。
証人が不要で、さらに署名捺印していれば代筆でもかまいません。
自筆証書遺言よりも簡単に作成でき、公証役場に持ち込むため安心感もあります。
ですが自筆証書遺言と同様に、自分で作成するのが基本のため不備があれば遺言が無効になってしまうことがあります。
公正証書遺言以外の、自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成する時は遺言書の作り方についてしっかり確認しておきましょう。
生前墓について
終活にあたっては自分が入ることになるお墓についても考える必要があります。
すでにお墓がありそこに入る予定なら問題ありませんが、死後にお墓を新しく建ててもらう場合は重要なポイントです。
特に終活では生前墓を利用することが多く、どんなお墓が良いかを自分でじっくり考えることができます。
生前墓というのは文字通り自分が入るお墓を自分で建てることで、元気なうちに家族とも相談しながら理想のお墓を建てられます。
また、生前にお墓を建てることを寿陵墓とも言い、とても縁起の良いことされています。
お墓にも石種やデザインなど様々な種類がありますので、時間をかけて自分好みのお墓を作ってもらうことができます。
生前に建てないにしても、どんなお墓が良いのか希望を書いておけば家族に希望に沿ったお墓を建ててもらうこともできるでしょう。
1.霊園・墓地選び
生前墓を建てる場合は、まず霊園・墓地を選ぶことから始まります。
特に注意したいのは生前墓を建てることができるかどうかで、霊園・墓地によっては生前墓を利用できないところもあり、注意が必要です。
まずは連絡をし、生前墓が利用可能なところに絞りましょう。
そのうえで最終的にお墓を建てる霊園・墓地を決め、使用契約を結びます。
また、使用契約を結んだ後は亡くなる前であっても維持費が発生します。
使用契約を結ぶのがあまりに早すぎると、長期間に渡って維持費を支払うことになってしまうので、時期についてはよく検討することが大切です。
終活そのものはいつから始めても早すぎることはありませんが、生前墓は費用の問題が出てきます。
まずはエンディングノートにお墓についての希望をまとめておき、ある程度の時期が来たら契約を結ぶというのが良いかもしれません。
2.墓石のデザインを考える
お墓というのは画一的なデザインばかりではなく、多種多様なデザインが用意されています。
オーダーメイドのように自分の希望するデザインにもしてもらえ、どんなお墓にするかも重要なポイントです。
たとえば大きく分けるだけでもお墓には和型と洋型の2種類があります。
和型は日本で古くから使われている形で、お墓と聞いて私達が一般的にイメージするのは和型のデザインです。
近年ではモダンな洋型の墓石も人気を集めていて、和型よりもデザインが豊富です。
この他にもデザイン墓石と呼ばれる自由なデザインが可能なお墓もあります。
いわゆるオリジナルの墓石で、事前にデザインを決め、そのデザイン通りのお墓が作ってもらえます。
生前好きだったことをモチーフにしたりと、柔軟なデザインが可能で人気を集めています。
お墓とひとことでいっても石種・デザインは多種多様です。
しっかりと考え、納得のいくお墓を作ってもらいましょう。
3.費用について
お墓を建てるにはお金もかかります。
まず霊園・墓地の使用料として永代使用料というものが発生します。
お墓は建てる土地を買うのではなく、土地を使用する権利をもらう形になっていますので、使用料を支払うことになります。
さらに墓石の工事代もかかります。
どのくらいの金額になるかは建てるお墓によって変わるので、必ず事前に見積もりを出してもらい、納得したうえで契約を結びましょう。
この他にも維持費や、お寺の墓地に建てる場合は入檀料が必要なケースもあります。
お墓を建てる際にはどんな費用が発生し、総額でおおよそ幾らになるのかも生前のうちから計算しておくと良いでしょう。
まとめ
終活とは一言で表せば自分の死に向き合うことですが、このように、考えるべきことはたくさんあります。
たくさんあるからこそ、元気なうちに終活を始めることが大切で、早すぎるということはありません。
死を後ろ向きに考えるのではなく、前向きに考えてできることをひとつずつやっていきましょう。
自分が亡くなったときに備えて、エンディングノートを活用することで遺族にメッセージを残すことが出来ます。
必要に応じて遺言書の作成や、生前墓の準備などの自身の遺骨をどうしてほしいのかを記しておくことで、残された遺族の心にゆとりが生まれます。
終活をすることで今後の人生も充実し、より楽しく過ごせるようになるというメリットもあります。
自分の為だけではなく、家族の為にもなり何歳から始めても良い活動ですから、終活への興味が出てきたら、できることから始めてみると良いでしょう。