お墓に用いられる石とは?御影石の特徴をわかりやすく解説します
お墓の材料といえばほとんどの方が石を思い浮かべると思います。
多くの方がイメージされているその石は御影石と呼ばれる花崗岩です。
御影石はお墓に最も適しているといわれており、実際に多くのお墓に用いられています。
では、なぜ御影石がお墓に適しているのでしょうか。
今では当然のように使用されている御影石ですが、その理由をご存知の方は多くないでしょう。
そこで今回は、御影石の特徴やなぜお墓に用いられるのかについて解説します。
御影石とは
御影石とは花崗岩をはじめ閃緑岩、斑レイ岩の総称です。
火成岩に分類されており、その中の深成岩に属します。
地中深くのマグマがゆっくり冷えて固まったもので、非常に硬度が高く、重い石です。
御影石は石英・カリ長石・斜長石・黒雲母・白雲母・普通角閃石などの鉱物が自然に織り交ざることで生成されます。
その鉱物の混ざり方が一定ではないため、実にさまざまな模様や色の御影石が存在します。
御影石の由来
御影石の名は兵庫県の地名に由来したもので、六甲山地で採れた花崗岩を武庫郡御影町(現在の神戸市東灘区御影石町)の港から各地に出荷していたことから名づけられました。
今では採石されておらず、御影石という名は花崗岩の総称として使われるようになっています。
総称としての御影石と区別するため、御影地方で産出された花崗岩を本御影石といい、高級石材に分類されています。
御影石の特徴
多くの種類がある御影石の主な特徴をご紹介します。
耐久性
御影石は他の石と比較しても硬度が高く、硬さの尺度を表すモース硬度は6~6.5程度といわれています。
モース硬度の最高値は10で、ダイヤモンドが該当します。
例として、同じく石である大理石のモース硬度は3です。
このことから、御影石はきわめて硬い石ということがわかります。
ただし、同じ御影石でも種類によって硬度に違いがあります。
基本的に硬度が高い石は耐久性も高いのですが、硬い石はそれだけ加工が難しいという一面があり、価格も高くなりやすい傾向です。
お墓を検討される際は、価格や見た目だけではなく石の硬度にも注目してみると良いでしょう。
吸水率
御影石の特徴の一つとして、吸水率の低さが挙げられます。
石に穴が多かったり分子構造が緩かったりする石は吸水率が高い傾向にあります。
反対に、石の組織が非常に密である御影石は吸水率が低い傾向にあります。
吸水は石の変色や、苔の発生の一因となります。
また、雪国など寒さの厳しい地方では吸収した水が内部で凍り、割れの原因になるともいわれています。
硬度と同じく、同じ御影石でも種類によって吸水率が異なります。
墓石を長持ちさせるためには吸収率の低い石種を選ぶことをおすすめします。
ただし、あえて吸水率の高い石を選ぶことで、石が水を吸い変色していく過程を味わい深いととらえている方もいます。
何を優先したいのか、よく考えて石種を決めるようにしましょう。
そして吸水率にかかわらず、お墓のお手入れはこまめに行うことをおすすめします。
耐酸性
御影石は耐酸性です。
そのため、酸性雨に強いという大きな長所があります。
一般的にpH5.6以下の雨を酸性雨といいますが、日本で降る雨は平均値でpH4.8のため、酸性雨とみなされます。
屋外に建立されるお墓は、長年酸性雨に打たれ続けることになります。
雨が多い日本において、耐酸性という要素は非常に重要なポイントです。
光沢
御影石は磨くことで美しい光沢が出ます。
御影石は硬いこともあり以前は研磨することができませんでしたが、現在ではダイヤモンドを用いることで加工することが可能になりました。
モース硬度6の御影石は、モース硬度10のダイヤモンドで磨くことができるのです。
研磨することで艶を出した御影石は、長い間その光沢を維持することができます。
永く受け継がれるお墓にとって重要な要素といえるでしょう。
まとめ
御影石の特徴について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
耐久性に優れた御影石は劣化しづらいため、雨風や雪にさらされる屋外に建立されるお墓に適しているといえます。
耐久性のほか、吸収率の低さや見た目の美しさなどからお墓の材料として選ばれる御影石。
お墓は長い年月をかけ代々受け継がれていきます。
だからこそ、少しでも永く良い状態を保てるよう大切にしていきたいものです。