卒塔婆を詳しく解説!お墓に立てる理由とは?
- 2019.08.17 | マナー
多くの方が、お墓参りの際やテレビでお墓が映されたときに、全長1メートルから2メートル程度の木の板を見かけたことがあるのではないでしょうか。
あれは卒塔婆(塔婆)と呼ばれるものです。
卒塔婆とはどういうものなのか、またどのようなタイミングで立てるものなのか、卒塔婆についてご紹介します。
卒塔婆とは?
卒塔婆は五輪塔を模した形をしており、仏教において宇宙を構成しているとする地・水・火・風・空の五大要素を表した細長い木の板です。
卒塔婆には、戒名をはじめ没年月日や年忌、梵字、供養年月日、施主名などが書かれています。
戒名(法名)
故人が亡くなった時に僧侶につけてもう名前が書かれます。
没年月日
故人の命日が書かれます。
年忌
回忌追善等が書かれます。
梵字
漢字に当てはめると空・風・火・水・地という意味になるキャ・カ・ラ・バ・アという5つの梵字と、種子(主に十三仏)を一字で現す梵字が書かれます。
供養年月日
卒塔婆を実際に立てた日が書かれます。
施主名
卒塔婆を依頼した人物の名前が書かれます。
書く際に用いられるものとして、従来は墨汁で書くのが習わしでした。
近年では印刷技術の向上にともない、プリント印刷をおこなう場合もあります。
卒塔婆を立てる場所は墓石の後ろが一般的ですが、厳密な決まりなどはありません。
なぜ卒塔婆を立てるのか
そもそも、なぜ卒塔婆をお墓に立てるのでしょう。
卒塔婆は主に追善供養を目的としてお墓に立て掛けられています。
追善供養とは生きている者が故人に対して行う供養のことです。
卒塔婆を立てることは善とされており、生きている者が善を積むことで、それが故人の善行になるという考えのもと行います。
さらには、その善行がやがて自分に返ってくるとも考えられています。
その他にも、卒塔婆の役割としてはいろいろなものがあります。
故人が安らかに眠れるようにという願いや、故人と近しい人物から故人へのメッセージという意味合いもあります。
他にも、成仏を願うだけではなく感謝の気持ちを込めて立てることもあり、卒塔婆が果たす役割は幅広いと言えるでしょう。
とはいえ、お墓を作る際に必ず卒塔婆を立てなければいけないという決まりはありません。
あくまでも供養の方法のひとつであり、中には卒塔婆を立てない宗派や地域もあります。
卒塔婆を立てない宗派として有名なのは浄土真宗です。
浄土真宗の場合、没後はすぐに極楽浄土へと成仏できるという考え方のため基本的には卒塔婆を立てません。
また、その土地の風習により卒塔婆を立てない地域も存在します。
卒塔婆を立てるまでの流れ
では、どのタイミングで卒塔婆を立てるのでしょうか。
お墓に納骨する際に立てるのが一般的で、その後は法要などの供養の時期に新しいものと交換することが多いようです。
まず、卒塔婆供養をおこなうのは49日後の納骨の時点ということになるため、そのときまでにお寺にお願いして準備する必要があります。
卒塔婆供養の方法
卒塔婆供養の方法としては、そう複雑ではありません。
卒塔婆を事前に準備し墓前で祈りを捧げ、卒塔婆を墓石に設置された卒塔婆立てに立て掛けます。
もし親族などが卒塔婆供養に出向けない場合には、寺院に相談すれば代理で供養を行ってもらえる場合もあります。
お墓に卒塔婆を何本まで立てて良いのかも厳密な決まりはなく、基本的には故人ひとりに対して1本という場合が多いものの、ご先祖さまを1本にまとめる場合などさまざまです。
また、法要など供養する機会ごとに新しいものに交換することが多いようです。
交換するタイミングに決まりはありませんが、木製のため年数が経過することで傷みが出てきます。
古くなった際にはお焚き上げをしてあげるとよいでしょう。
遠方でお墓参りに行けないときには墓地の管理者に相談されると良いでしょう。
まとめ
卒塔婆は大切な追善供養を目的にお墓に立て掛けます。
卒塔婆を立てることはご先祖様への感謝の気持ちを込めたメッセージであり、故人の冥福を願う供養の形の一つです。
書かれている文字にはそれぞれ意味があり、卒塔婆を立てるタイミングにも決まりがあります。
宗派や地域によっては卒塔婆を立てないこともあり、必ずしも必要というわけではありません。
卒塔婆供養を行う場合には意味をきちんと理解した上で、故人やご先祖様に供養の気持ちを表すことが大切です。